■2015オリジナルコンサート総評 木下そんき
暮しと闘いの息吹さらに
エントリーは54曲。時間内に納めるために、事前に検討会をもち44曲にしぼった。休憩含め6時間の長丁場だったが取り組みやテーマも多様で、克服すべき課題も残しながら、いずれも誠実に演奏され今祭典の終幕をかざる集いとなった。(観客数の点は要検討!)
東海や北海道などの取り組みの前進もあわせ、少しずつだが集団創作の活動も広がり新しい書き手は増えてきていて、まだ初歩的とは言え年2回、東西の創作講習会の果たした役割は大きい。
作品の傾向は、憲法・平和への願い30%、沖縄・原発被害者への連帯25%、青年への呼びかけ・生き様15%。職場、暮らし、子どもの創作、各8%。
沖縄や福島への連帯を歌う作品も“作り手の思い込み”に終始する作品は減り、それぞれ現地との交流を踏まえた取り組みが増え、南部合唱団の「いつの日かきっと」などに結実し始めたのは前進。合唱団この灯などとともに作品、演奏とも気力が充実していた。
これらのテーマと絡みながら「Syuku-Syuku-To(粛々と)」「大臣様の流行語『てきってき』(積極的平和のてき)」など、今の政治語をとりだして奇抜で素敵な切り込みの作品が新しい可能性をみせたが、演奏として生かし切れてはいない。ステージングまでを見通した作品化(その詩にふさわしい歌い易さなど)も視野におきたい。
また、子どもたちの詩(安里有生『平和ってすてきだね』など)の作品化にも同じ事が言え、“自分の思い”をうたうことで満足するのではなく、その想いの根を探り、“どこのだれに届けるのか”そのための行動と創意(四部合唱か斉唱かなど)その努力が必要。
沖縄の闘いを私たちの闘いにするソングを!講評委員会一致の提案。なお、全エントリー曲収録のオリジナルソングブック「今、あなたと…」(全曲縦書詞掲載)、ここには運動の一つの断面があり、ぜひ一読をおススメする。
■講評委員
木下そんき(作曲家) 石黒真知子(詩人) 大竹広治(ヴァイオリニスト)
黒坂黒太郎(コカリナ奏者・シンガーソングライター) 武義和(作曲家)
■講評委員の皆さんによる推薦曲
4人の講評委員が推薦した曲 |
「ちむぐりさ」 |
2人の講評委員が推薦した曲 |
「平和の*」「ばらをいちりん」「虹が生まれた日」 |
1人の講評委員が推薦した曲 |
「今 あなたと」「Syuku-Syuku-To」「希望のみちへ*」
「私の家」「うた*」「カジノいらない音頭*」「つばさ」
「もしあなたに出逢っていなかったら*」「ビールがうまい」
「明日の空は」「変えてゆこう」「ゆらり…沖縄の青い海」 |
※ 木下そんきさんより *印は改作しても役立てたいの意…当事者に木下意見の検討をお願いしたい。
はじめにみなさんへ
毎年書いていることですが、オリジナルコンサートでの発表にいたるまでの過程の中にこそ、私たちが歌をつくって行く、一番大切なことがあるのだと思います。震えるこころで作った歌もあるでしょう。一つのことばや音符の中に込められた、それぞれの人生があることでしょう。その一つ一つを知らない私には、聞こえた音、楽譜で表されたものにしかコメントができませんから、多少の的外れはお許しください。(武義和)