神谷国善、荒木栄と私は共に10月生まれで、「十月の会」という創作漫談がかわされたものである。神谷国善と、むこう息の荒い私が論争をするのを聞いたり読んだりして、カラカラ笑いとばすのが栄であった。
三池闘争の中でも、4ヶ月あまりにわたり総評が動員したオルグは延べ35万人。対する警官隊延べ37万人。死者1、重軽傷者1925人(朝日新聞82年7月28日夕刊、新人国記による)も出した史上空前の流血争議であった。
第27次うたごえ行動隊は、9月30日を持って解散した。7千人から1万人にも及ぶ動員であったが、常に若さに満ちあふれ、働くものを激励し激励され、ここからまた新しい運動路線が開けていった。
この闘争の中で、いくつかのカップルが誕生した。
「君、神谷君が結婚するんだよ。奥さんになる人は可愛いんだよ、もう、知らなかったの」と、栄は、たて板に水を流すような言い方をした。
私はふたりの結婚式のために、密かに祝婚歌を書いてみようと試みた。まず、3、4編書いた。ある1編の内容は、きらきらと輝く雪の山脈を背景に、2羽の蝶がとびかうといった美しいものであったが、栄は「花をおくろう」にすぐ曲を書いた。
翌2月、神谷さん達の結婚式。案内状に楽譜がつけられ、当日、全九州合唱団会議の代表者が合唱。私が即席のナレーターを務めた。
今日もっともポピュラーに歌われているこの歌は、うたごえ運動の胎動期から三池闘争までの、神谷国善と私の来し方の活動の内容を総括したもので、闘争の中での美しい男女の友情が、栄の作曲を得て、気高いまでに昇華されたものといえよう。(森田ヤエ子)
※うたごえ新聞87年5月4日号より
森田ヤエ子作詞/荒木栄作曲
♪吹雪の夜を歩いてきた ぬかるみを跳び越え…。日本のうたごえ祭典in長崎女性のうたごえ演奏曲。三池闘争(大量指名解雇反対)の中で結ばれた神谷国善(現・合唱団しじゅうから)と宗利周子の結婚(1961)に寄せられた歌。
歌の中で贈られる花がオレンジなのは「黄色は色白の人にいい。周子さんがよく黄色のセーターを着てそれが似合うから」と作詞の詩人・森田ヤエ子(1927〜2004)は答えている。式で緊張する新郎新婦を前に突如沸起こる歌声の形でこの歌は初演された。
作曲者・荒木栄(1924〜62)の友人だった神谷は、聴きながら、「炭鉱からパージされ、三池闘争支援など筑豊の各地を長靴を履いて飛び回った日々が胸に去来した」と述懐している(神谷『荒木栄の歌と生涯』新日本出版社)。
※うたごえ新聞2010.7.19号歌の小箱No.202より






















