1. ふるさとよ KIYOMI 合唱団未来をかけて(福井) 

(作詞・作曲/斉藤清巳 編曲/小林康浩 原詩/柴田裕)

大西 作者はいま、運動の中心的な一人で活躍している。作品も多いので、すべて意図した上でのものと思います。全体が16分音符のリズムを主体としたフレージングの中で6小節目の「ふるさとの」だけ8分音符で、音の動き巾も最大を使っている。タイトルにある「ふるさとよ」を強調するねらいか。全体はあまり高低に音を広げず、16分音符で同音の連続で処理しているのが特長か。2小節目の「けしき」と8小節目の「けしき」に違いがあるが、曲の流れの関係でこうなったのかと思いました。(けしきのアクセントは地方によって違うのでそれぞれでよいと思うが、私は同じほうがよいと思う。)

  言葉もメロディも美しくて懐かしくて、心に響いてきます。私たちの世代は、この歌の風景をみな心の中に持っているようです。Codaからもいいですね。柴田さんの思い描いた世界が、この歌の中にみごとに実現したのではないでしょうか?

頭の4小節目、「に」は3拍ですね。(これは楽譜の間違いか。〈譜例1〉)Codaからの4小節目の「ふ」の3拍は、普通に2拍で「ふーーるーさとー」のほうがいいような気もします。

長森 冒頭の「なつかしいあのけしきは どこ  どこにいったの〜」のメロディ から惹かれるものがあります。編曲の良さに支えられて、イントロもいいですね。

全体の流れが自然で特に5小節目の「ふるさとの」の、5度の跳躍が効いていると思います。

柴田裕さんが生前託された詩という事で、これからもその詩に込められた ふるさとの原風景への想いを歌い継いでいってください。

鳴海 構成がしっかりしている。冒頭の10小節は、故郷の原風景が失われていく姿に失意とかなしみを素直なメロディで表現。次の8小説は、語るように作曲されている。そして、コーダが印象的に生かされ見事。ただ、詩の3番をもう少し簡潔にできそうな気がします。少し反芻する部分が多いように思われる。例えば3かっこへ行った冒頭に戻らずCodaへ行くのは如何でしょうか?

野田 前奏美しく、歌 最初の8小節美しい流れるメロディ。次の8小節Cmのところ、詩と曲に少し違和感。下がりすぎている感。

コーダもすてき。2コーラスにまとめて、コーダにいってはいかがでしょう。

故郷を思う良い詞と思います。

 

 

2. 違っているから −これまで気づかなかった友へー どすこい(広島) 

(作詞・作曲/どすこい 補編曲/たかだりゅうじ)

大西 うたごえの中での新しい「ジャンル」かと思う。「野党は共闘」が広がって力を合わせてたたかわれていることをうたった歌に注目しました。歌の中心部10小節目から13小節目「ちがっていてもいい」「ちがっているからいい」に注目。今や国民的に浸透している「金子みすゞの」フレーズと似ていてちがう。ここからうまれる新しい作品に期待。これはその第1号か。

  この発想もいいなあと思いながら、聞かせていただきました。宗教間の対立も、この歌の願いを共有すれば、良い方向に向かっていくでしょう。後半の「ちがってーいてもいい」からが好きです。2回目の「いい」の前の8分休符が特にいいですね。曲つくりのセンスの良さを感じます。「暮らせる明日へ」もいいメロディですね。

一つだけ、前半の歌に入っての6小節目、「さけていたことも」のEmが次の小節にも続きますが、ここは再考の余地ありそうです。「確かにあった」で、詞としても世界が次に進むわけで、ここは例えば〈譜例2〉のようなコードで6、7小節を考えるのはどうでしょうか?

長森 「違っているからこそ面白い」と云う視点、大切ですね。

ギター一本での伴奏のシンプルさがよく出ていると思います。だからこそギターのチューニングをもう少し拘って合わせてみてください。更に演奏が伝わると思います。

イントロと間奏は違えた方が曲の流れが更に増すと思いますがいかがでしょうか。

鳴海 「野党共闘」のことを音楽に表現したことに拍手。音楽も平明で解りやすいのだが、

「違っていてもいい、違っているからいい」のフレーズに少し違和感がある。

金子みすずの(みんなちがってみんないい)を違う角度から見て、無責任さをかんじてしまうのにどこか似ている。どうしたらいいのか?課題です。

野田 工夫された詞、曲は前半少し単調。後半もりあがる曲の流れ。

 

 

3. 大臣様の流行語2019 〜新造語辞典の巻〜 しんすけったーず(岩手) 

(作詞・作曲/佐々木伸介)

大西 演奏(振りも歌声も)がよい。説得力がある。風刺作品として成功したと思う。歌にすることで多くの人をつないでいけるでしょう。どれも削れないと思うが、普及曲(多くの人が覚えやすい形のこと)の形にまとめることにもとりくんでほしい。

  今年も悲しいことに、ネタが豊富の年でしたね。佐々木さんのこのシリーズも、オリコンの定番になりました。昨年よりも、繰り返しを入れることとか、工夫のあとが見えます。

構成が良くなり、レベルアップした気がします。この歌は一度だけではなく、何度か聞くといいようです。来年も再来年も、このシリーズは続くのでしょうね。

長森 シリーズ5作目と云う事ですが、ホントにネタは尽きないですね。

「桜を見る会」の事も迅速に取り入れて時勢に適っていました。

コードの流れも自然で工夫があちこちに感じられます。ユーモアの中に大事なメッセージが込められているので一気に聴いてしまいます。集まりの中でも皆さんの共感が得られるでしょう。

鳴海 面白いですね、現代瓦版です。演歌節から囃子節そしてcantabile箇所の三段階に進行させるアイディアが上手い!

野田 皆で歌うというより、現代の語り部のような歌。情勢を良く学んでうまくまとめ、その時々に詞を変えていることがすばらしい。民謡調で良くまとめている。

 

 

4. 限りなく続く今 佐々木伸介(国鉄) 

(作詞・作曲/佐々木伸介)

大西 メロディーメイクに良いものを持つ人。しかもうたもうまい。言葉をしっかり表し熱演。冒頭の7行詞の出だし「時間て〜」と12の歌詞の出だしが同じ印象を持っている。共通性を持たせて全体の統一を考えたものと思いますが、別の発想をすることで曲が「しまる」こともありますね。  盛り上げ/たたみかけ/印象深く進行する作り方を持った人。

  この歌を聞き、もう一人の佐々木さんにお目にかかったような気がしました。心の声をうまく音に乗せて、しっとりしみじみ、いい歌ですね。

私はメロディを作るときに、その曲の中の最高音を必ず意識しますが、この歌は前半の17小節でGの音が出て来て、その後、22小節からはほとんどが(最高音が)Dで、わずかにEが出るのですが、一番伝えたい思いは、17小節の周辺にあるのでしょうか?そのことがちょっと気になりました。最終盤にもう一度、大きな歌の山を持ってくるのはどうでしょうか?

長森 詩として最も訴えたい核心を、もっと明確・簡略にされると曲としての説得力が増すと思います。 歌唱力もあるので、いちばん伝えたい部分に焦点を当てたら更に伝わる演奏になると思います。メロディの流れやコード進行などに工夫が感じられます。

鳴海 詩が伝わりにくい。説明的な部分が多いような気がします。冒頭の部分言いたいことはわかるのだが、無くてもいいのでは?1、2との、出会いの君とは誰?同僚なのかな?はたまた彼女?其れによっては随分違う詩の解釈に成ってしまう。解りやすくもっとタイトにする努力が必要。

野田 詞が長すぎ、フレーズで切ってほしい気がします。君と出会った・・・のところ少し類型的。

壮大なラブソング。上るところを1ケ所にまとめてはいかがでしょう。

 

 

5. 僕たちにできること ひまわり(青年) 

(作詞/石本直 作曲/隈広智子)

大西 活動の中で「発見」したとても大切なテーマを歌にしました。とてもよいところにテーマを「発見」。詞作者の良さが伝わります。曲は詞(ことば)に素直です。良い作品です。出だしが6小節ですね。ひとつの作曲法ですが、「しらない国の〜」「しらない誰かが〜」「知らない誰かが〜」を同じメロディで続く小節に変化をつけ、冒頭のリフレインを強く印象付けるやり方もあります。今曲は素直でよいですが、6小節でまとめるか8小節でまとめるか、という意味も含めて。今後の課題にしてみてください。

  知らない誰かの痛みや悲しみを、また喜びをも想像することが、いつも私たちの大きな課題だと私も思います。みんなが自由で平和な社会を作るために、ほんとうに大切なテーマの歌ですね。メロディも自然で、ことばととけ合っています。

2点、気づいたことですが、まずピアノの伴奏。おそらく開始から終わりまで、8分音符が鳴り続けていますが、これはどうでしょうか?メロディが比較的細かい音符で動いているので、また、その中に大切な言葉がたくさんあるので、「伴奏を止めること」も必要な気がします。(4分音符や2分音符もいれて)

2番目は3回の繰り返しについて。中間部分の「良いか悪いか聞かれても」のメロディはとってもすてきですが、その音型が続けて3回登場します。2ニュースで聞いてもそんな町、3見えないことを気にやむなんて。これがすべて同じ色(同じコード)なので、例えば3回目はちょっと変化をつけるのはいかがでしょうか?〈譜例3〉その部分が「締まる」気がします。F#mは、そこまで一度も出てこないので、ここぞ!という感じがしませんか?


2
3番の歌詞も、そこがとても重要ですね。(あるいは、23番はこのコード、というアイディアもあります)

長森 「自分の身近な人に置きかえて考えてみた。」 と云う視点はとても大事なことですね。

シンプルなコード進行やメロディの流れは、ギターなどの伴奏で語りかけるように伝えることも一案だと思います。1年に一度は発表されているそうですので、これからも是非続けてください。演奏力の向上は人前で発表することが一番だと思いますので。

鳴海 このままの詩は、朗読するなら意味が具体的で解るのだが、言いたいことがいっぱいで語呂が多すぎる。音楽に載せるなら大胆に想像させる余白が必要。例えば大胆にカットして、「知らない国の知らない街」の三行部分の三か所と、「それは他人事」からの6行だけでも詩に成るのではと思います。

野田 少し説明的に感じる。3段目からのフレーズに工夫を!

少し盛りあがりに欠けるので、印象的なメロディの流れがほしい。皆で歌うためにも。

 

 

6. 海に訊け!山に訊け!島人に訊け! Cross Voice(神奈川) 

(作詞/佐々木淑子 作曲/河野好行)

大西 力強く説得力のある演奏でした。曲のまとまりもひとつの作り方として良。詩が示している通り、特に各番の終わり2行は深く重い。そこであえて動きをぐっとこらえて主旋律にG音を23個続けたところにこの曲の味があります。ここを大きく動かすメロディを考えると、また別の世界になりますね。どこに一番メロディを感じたか、自らに問いつつ作曲を続けてください。期待!河野さんへ。

  この曲を私は高く評価します。講評委員会でも「印象に残る曲」に一票投じました。

詩は簡潔で深く心に響き、メロディは、初めて曲を作られたとは思えない、ことばに寄り添った自然なメロディになっています。歌いやすいのもいいですね。3人での演奏も良かったですが、大合唱にして歌っても良い曲だと思います。些細なことですが、主メロディが楽譜上ではテナーの部分にあるようですが、そのことを明示したほうがいいでしょう。

長森 詩を生かす曲作りが印象的で心に残ります。

沖縄への想いが簡潔な詩の中に込められていて明快に伝わってきます。

ギターのストロークを更に歯切れよく、途中に入るリードギターがより効果的に映えるようにチューニングもしっかりと合わせると演奏のクウォリティが更に上がると思います。

曲の最後のコードは、Emで力強く伝え切れば良いと思います。

鳴海 詩がとても簡潔で、辺野古海の声、沖縄戦の時に見つめた山原の山の声、島人の平和の声に耳を傾けろ、力強いメッセージが伝わる。譜面上では、その想いがリズム812の切々に、伝わってきます。

野田 印象的な詩、興味深い切り口。

お酒のCMのような曲に少し感じる。ラストのEはなくても良い気がする。

 

 

7. 生命の山 うたごえサークルやまなみ(長野) 

(作詞/吉田豊&佐々木昌 作曲・編曲/佐々木昌 アコ伴奏編曲/池田忠久)

大西 良い演奏でした。詞曲テーマ発見とても良いです。リズムの発展も素直で好感。現状を見つめ「今」をうたとしてのこしたい、ここに作者の本音があります。良く書けていると思います。Aの冒頭の「アルプスの雪が駒形になると〜」は各地にあるものですが、それぞれ「形」がちがいますが自然と共に生きる人間のくらしの中から伝えられ伝えていく大切なものも入っていてすばらしいです。

  「いのちの山だー」からの始まりがいいですね。この8小節がすばらしい。DSで帰ってくるところもひときわ心に響きます。一方、つむぎ、からの8小節、またダイナマイトの周辺は、まだ推敲の余地があるように思います。

つむぎ、からの8小節(全32拍)では、D系のコードが18から20拍、Gが8から10拍ですが、何度か聞くと、Dが多すぎるのかなと感じます。マイナー系(EmとかBm、Am)を入れるとか、構成を考え直すのもありかなと。

また、音楽(特にソング)を作るときに、「粉々に打ち砕く」のような言葉に曲をつけることは、とても難しいです。私もいつも苦労しています。「これで良いのか?」この自問を何度も繰り返しています。

長森 大切なメッセージなので、更に詩を絞り込んで、曲としてまとまりが出るように整えると良いでしょう。歌う詩は言葉数が少なくても伝わると思います。印象に残る言葉に効果的なメロディを付けることによって曲の魅力も更に増すと思います。

鳴海 メロディを工夫して作曲されている。但、言葉の信号が多くメロディが後から付いていく様で、詩の処理とメロディのバランスクエッション。言葉のイントネーションに拘り過ぎ感があるのでは?テンポ感が、もっと溌剌としてほしかった。

野田 地元ならではの詞。

何度も納まってしまう曲が残念。自然に少しずつ盛り上ってほしい。印象的なメロディがほしい

 

 

8. 春・平和の旅 コンブリオ(宮城) 

(作詞・作曲/石垣就子)

大西 熱演、熱演。思いがいっぱい。作品に反映している。やさしいまなざしが心にしみます。世界にふれ、足元から歩き出す「創作」の大切なものをきっちり持った人。共感の輪を広げる力も「創作力」の一つと思います。ますますのご活躍を期待しています。

  リディツェへの旅の印象を、すぐに歌にされたことがすばらしいなあと思います。

「命がわけもなく奪われた」から、「今を生きる」までのことばとメロディは、とてもよく溶け合って、特に心に響きます。そこに入る前の、突然の「間」もいいアイディアですね。

       ここからはあくまで蛇足ですが、最初の8小節、きらきらした子供たちの世界の音の色と、かの地の村での部分の色とがくっきりと色分けされ、音楽的に長調と短調で分けられていますが、(ここは普通のアイディアですが)ほんとうはどうなのだろう?と、ちょっと気になりました。かえって同じ色調で続いていくほうが、同じこどもたちの悲しみとして、訴える力が増すのでは?と、ふと思いました。

長森 2019年の春にチェコのリディツェ村を訪問され、その時の想いを歌にされたのですね。

歌は国境を越えて心を伝えますね。歌うことを前提に言葉をより選択し、メロディに乗せやすいフレーズ感を出せると良いと思います。後半の部分では言葉とメロディの関連性の中で16分音符が多用されていた所に歌う難しさを感じました。

鳴海 出だしの動機部分は魅力的。秩序だった生活から、一変して、暗い時代に記憶に引き戻され、決意の部分に進んでいく流れの工夫も良く考えられています。但戦争の悲惨さが、旋律から伝わってこないもどかしさが有るのは、EsDurcmollのみで処理されているためか?

野田 聞き手がその気持ちになるよう、詞で言いすぎないようにしてはいかがでしょう。

9小節目から暗い雰囲気になっていますが、少し残念。E♭ になるところが自然でなく感じる。全体的に明るくしてほしい気がします。

 

 

9. 戦争を生きたあなたへ 京都いろり合唱団(京都) 

(作詞/山ア優子 作曲/竹上正博)

大西 祈りのような 内に湧き上がる願いのような音の連続がこの曲のいのち。ねらい。でしょう。作曲にあたり、いろいろ考えた中でこの方向に決めたのではないかと思っていますが。前半は感情をおさえ メロディに高低差をおさえた作品となりました。もう一度これで良いか確認してみてください。エンディングに動きを採用していて詞・曲・演奏共印象深いです。詞は語っています。静かに大きいうねりで。

  印象的な作品で私は好きです。何度も聴いて、いい歌だなあと思います。頭の4小節、最後がA7になるところもいいアイディアです。ピアノの間奏、後奏など、音楽的にも力ある方の作曲なのでしょう。特に最後の、星が眠らない、の終わり方が秀逸だと感じました。

16小節の3拍目からEbの音が出てきて6拍続きますが、まずはEの音(例えばAm)で、17小節目の頭でbになるというアイディアもありそうです。

長森 曲にまとまりがあり、テーマの繰り返しが心に残ります。

「風も眠る八月の夜」「木々も眠る八月の夜」「星は眠らない八月の夜」と云う箇所に魅力を感じます。

出だしのモチーフに曲全体の流れを押し出す力を感じます。

これからもこの作品を様々な場で歌って若い方達にも届けてください。

鳴海 前奏とエンディング(D♭E♭G)魅力的ですね。レチタティーボ風の独白的な曲です。歌唱力も問われるうたですね。雰囲気のある曲に成っていました。

野田 詩的な歌詞です。

5小節目の入り方美しい。11小節目からもう少し上ってほしい。31小節目美しい。

ラストの「夜」のところが少し違和感。

 

 

10. ちがっているって すばらしい ふたば(福井) 

(作詞・作曲/山田ふみは)

大西 うたごえ運動に寄せるあなたの思いが伝わります。素直な演奏です。まるごとのあなたが美しいです。独創性も積極性も美感もありみんなの中で歩きつづけるあなたがすてきです。「いろんな声で夢を語り」によく表れています。

  この曲は、林光さんの作詞作曲だといっても、信じる人が多いと思います。マイナスの意味ではなく、林さんの作品の持つ深くて新鮮な魅力が、この曲にもあふれているからです。随所にすてきな世界があります。メジャーセブンで始まる頭から、折り返しの前のEbに行きそうで行かない(Gで止まる)ところまで、ワクワクします。まさに違っているってすばらしい世界が実現しました。

       ただこの世界は、一般には理解されにくいのが残念なところです。3小節目の「みんなおんなじ」あたりをもう少し推敲されると良いように思います。

長森 詩の中の「ひとりひとりが 自分の足で幸せ探し歩く その道の先には 色とりどりの光あふれてる」 という箇所が印象に残ります。

前半が13小節と云う中に収めているので少し不安定な感じがします。

メロディの向かう方向性や、言葉と音の関連性に付いてもう少しまとまると良いでしょう。

鳴海 おしゃれな曲です。特にD.C.前のG7歌の終わりとFineの前のE♭M7の終わり方が魅力。但5小節〜8小説のF音に処理するために、音階的な旋律の進行が生理的に難しい旋律の流れに成っている。何か工夫が欲しい。

野田 共感出来る詞。詞にとらわれて曲が流れてない感。

歌う時、ブレスが大変。912小節目のメロディ少し違和感があります。

 

 

11. 田んぼ道 福原やす子(宮城) 

(作詞/福原やす子 作曲/小林康浩)

大西 感動があって作品が生まれます。作詞はよく書かれています。曲はさすが。動機のメロディーリズムがすばらしいです。ここにつきます。「稲の香」が感じられます。うたも上手です。

  福原さんの新しい世界を感じました。自分の生きてきた人生を、娘にこんなに暖かく美しく歌っていただいて、お父様はしあわせですね。田んぼに生きた、東北のすべてのとうちゃんたちに、この歌を贈りたいです。

そこまでは緩やかに流れてきたメロディが、夜明けとともにから、リズムが変わっていくところが特に好きです。

長森 お元気でした頃のお父様の姿に想いを馳せて作られた詩にメロディがよくマッチして演奏とともに伝わってくるものがあります。

「田んぼに生きた あなたの人生 夕日が水面に 揺れている」「稲の香りに風そよぐ」の詩の世界が絵画的な描写で、メロディと共に聴くものの心を捉えます。

鳴海 印象的な旋律が随所に組み込まれて、飽きさせない。例えば最初の動機の旋律、8の処、10の部分等、ソロも暖かく、声の幅が有って素敵でした。

野田 父を想う具体的なあたたかい詞

全体に流れが自然になってないような気がする。印象的なメロディがほしい。

 

 

12. 未来 仙台合唱団若星Z(宮城) 

(作詞/佐藤優子 作曲/大沼陽子 編曲/小林康浩)

大西 ユニゾンコーラスで発表〜発表楽譜に作者のコメントがあります。動機にこだわったわけが。共通できるに十分なのに、ことばの背景に、ことばの心髄に忠実に12を書き分けた作曲の想いを理解します。「必要な音だけ使う」「無駄な音は書かない」というプライドのような心を持つ人です。盛り上がりは「かなでるハーモニー」演奏もすばらしかった。宝ができてよかったです。すてきなメッセージソングです。ピアノの支えも十分です。

  わげすたーずの成長がとてもうれしいです。この曲も演奏も、ありきたりな言い方ですが、素晴らしいです。わげしゅう(若い人たち)の少ないオリコンの「未来へ」、これからも進み続けてください。この曲は、組曲で言えば終曲的な歌ですが、そこまで行く中での葛藤や悲しみ、迷いを皆さんが歌にするとどうなるのか、それも聴いてみたいです。楽譜でところどころコードがなくなるのはなぜ?あと、うごきだ「そう」の部分(この曲の最高音)はFでしょうか。

長森 自分の想いや普段感じている事を詩にする事は大変な事だと思いますが、詩にマッチしたメロディがつく事で多くの人に届ける事ができますね。

曲としてのまとまりがあり、テーマに対する展開も心に残ります。

鳴海 曲の盛り上げが上手い。坦々と歌うなかで少しずつ変化していくのが見事です。演奏も若々しくストレートな演奏。

野田 長い詞ですが、良く合ったメロディとともに感動があります。

低音と高音の巾があり、歌うのに少しむずかしい。

情景が目に浮かびます。

 

 

13. 希望の灯 −日本国憲法ー 草村美和(千葉) 

(作詞・作曲/草村美和)

大西 演奏GOODでした。詞に無駄はなく大切なことばで綴られています。一番大切な出だしに「微かだけれどこの光は」は控えめすぎないか。確かな希望と続けていますが、微かを積極的な言葉に変われば全体が変わります。演奏が積極的で全体では思いが伝わりました。立ち位置の問題とも言えますが2020に向けてうたいたいですね。

  力作です。聴きなおすとなおいいです。今回のコンサート「印象に残る曲」に私は1票投じました。「かすかだけれど」から「確かな希望」4小節は、これから私たちが繰り返し何度も歌っていかなくてはならないメロディです。「二度と」から、Cの音が繰り返される部分も、訴える力と願いがこもっていて、とてもよくできています。このまま埋もれさせないように、この歌をぜひぜひ歌い続けてください。

長森 アカペラの出だしがこの曲の導入に合っていますね。

メロディも詩がストレートに伝わってきます。25小節からの展開もいいですね。

エンディングに冒頭の印象的なフレーズを持ってきたことで、曲全体を引き締めていると思います。 

鳴海 導入の動機がいいですね。最後に其のメロディをpfで演奏したのも印象的でした。声も素敵です。日本国憲法の精神を、静かに切々に語りかける曲と祈りに似た清楚な声に胸を打たれました。

野田 詞が全てを伝えてしまうと、曲と重なってしまうのでは。すばらしい詞を少し整理したらいかがでしょう。そのため、ずっと流れる曲が長いと感じます。もう少し練れたらすばらしい曲になると思います。

 

 

14. 消された村〜リディツィェに捧ぐ〜 親と子のみどりの杜合唱団(教育) 

(作作詞/川村ミチル 作曲/藤村記一郎)

大西 Solo良し。無駄のない詞・曲でよいです。特に2番の詞に作者の動機、作者の感動が伝わります。世界の平和を願う限りないテーマに向かっての確かな歩みです。戦後75周年に向かううた。

  素晴らしい作品です。愛知の時の感想を全国の人にもお伝えしたいので、部分的に再掲します。(一部修正)

「かつてここには村があった」7回登場するこのメロディと言葉が、ずっと心に鳴り続けました。特に4回目、7回目のメロディがいいですね。ぐっと迫ります。詞も歌も良く練られていて、素晴らしい。私の知らなかったリディツィェ村という今は地上にない小さな村が目に見えるようで、悲しくこの歌から浮かび上がってきます。』

       今回聞きなおしましたが、この歴史を伝えるためにも、ぜひ歌い続けていただきたいという思いを強くしました。

長森 かつて そこには村があった」のモチーフが印象的で、繰り返される中で曲のまとまりと共に、花が咲き鳥が歌っていた穏やかな村の風景が浮かび、胸が締め付けられる思いが致します。

ソロやデュエット、コーラスでのそれぞれの演奏形態が、より曲を聴くものに伝えていると思います。 

「胸の松明が照らすのは リディツェから学ぶ道」 という最後の行に希望を感じます。

鳴海 偶発的だったと思うのですが、無邪気な子供が自由に舞台を歩き回っていたのが、この歌に不思議な雰囲気を醸し出し、似合っていた。映画「シンドラーのリスト」のシーンの中で、赤い服を着た子供の映像とダブった。面白かったです。愛知で聞かせて頂いた時より少人数でしたが言葉がつたわりいいですね。

野田 出だし印象的。整った曲と詞、伝わってくる。

 

 

15. あなたと私のラプソディー とどけ!アリランのうたプロジェクト(愛知) 

(作詞/福井啓子 作曲/藤村記一郎)

大西 うたいやすい音域の中で美しい自然の音のつながりが心をゆらします。「あなたと同じを楽しんで私と違うを抱きしめる」これはすばらしいフレーズ(3番は変化しているが)。喜び悲しみが美しくうたいこめられています。言葉の選びが良いですね。

  「あなたと同じを楽しんで、あなたと違うをだきしめる」いい言葉ですね。私も今、ハナは一つの国(韓国)の方たちと一緒に生きているので、このうたは私の歌でもあります。内容の深い良い詞です。日本の多くの人と、この歌を歌いたいです。またこの曲が、日本には元来なく、この国にはアリランをはじめたくさんある3拍子であることにも、意味がありますね。(作曲者が意図して書いているはずです)縦の歌詞が楽譜と違うところがいくつか見られます。

長森 詩の中の「あなたと同じを楽しんで  私と違うを抱きしめる」「あなたの苦しみ分かち合い あなたの思いを抱きしめる」が、深く心に沁みます。

三拍子のリズムは、韓国朝鮮の民謡にも多く見受けられます様に、この楽曲にも豊かに活かされていると思います。

私の育った川崎では在日韓国朝鮮の方々と親しく交流する機会が多くありましたので、この曲を届けたいと思いました。

鳴海 この曲は、愛知の創作発表会で聞かせて頂きましたので、省きます。三番のテンポを遅くしたのは良かったです。(あなたと同じを楽しんで、私を抱きしめる)の詩がいいですね。

野田 覚えやすいメロディ、歌詞づけが少しむずかしい。「差別」という言葉を使いたくない気持もあります。3コーラスにまとめてはいかがでしょう?

 

 

16. このままでいいなぁー アウニ シンガーズ(北海道) 

(作詞・作曲/中村京子 編曲/アウニ シンガーズ)

大西 素朴だが音の配列感が良い。(手話付)切々感がある。フレーズ感が独特。楽譜を見てうたう場合と楽譜を見ないでフレーズの終わりを自然の流れで感じると各ワンフレーズののばし感覚が少々ぎこちない。見てうたうとこのままでもよいが、フレーズ感覚として5段の上から4小節(リピート記号)/4小節/3小節/3小節/5小節にフェルマータ。小節数を順に書くと44335となる。最後のフェルマータ、このような変数小節の場合、実際にのばしたい符にした方がよいと思う。

  重い現実の中で、また、大変な日々の中で、それでもカムイをそのままで愛する作者の思いがあふれていて感動します。お二人で歌う部分と、みなで歌う部分の色分け(アレンジ)が良いですね。このままで、からの7小節は特にこころに響きます。こういう素朴なメロディ作りに、私も学ばなくてはなりません。

長森 ストレートな想いは、なかなか表現しづらいところですが、ご自分の想いを率直に伝えることで独自な世界観が繰り広げられています。

コーラスで歌うことでより厚みが増し、豊かに表現できています。

題名に込めた作者の気持ちが、聴く人たちの心に響き、それぞれの思いを深めるきっかけになる事と思います。

鳴海 短い詩の中で、沢山のメッセージが含まれている。其れが日常の触れ合いの中でふと出た独白と旋律に「子守歌」のような優しさと温もりが伝わってきます。

野田 詞の意味が良くわからないが、〜だったらいいなあ、という気持とこのままでいいという気持を伝えたいのですね。自然に詞と生まれたメロディ。

 

 

17. 乾杯 〜北国の友〜 北の国から合唱団(北海道) 

(作詞/きむらいずみ 作曲・編曲/高畠賢)

大西 あいさつを交わす人間関係を想像する。比較的おだやかな動機のメロディラインで。「乾杯」の定版の名曲群にせまれる作品。詞の発展に共感する人も多かろう。リフレインもよい。大合唱もよかったが最後のポーズ付カンパイ!も効果有。

  聞いたときにも「いい歌だな」と思ったのですが、録音に合わせて実際に歌ってみると、さらに味わいが増しました。「うたいごこちの良い」歌なのですね。飲みながら歌うともっと良いのかな。自然で、暖かくて、それでいてどこか悲しくて。コンサートでの印象的な歌に一票、今から入れます。

長森 「久しぶりだね 元気かい」と云う出だしのモチーフから心惹かれるものがあります。

展開部分からの盛り上がりと、「今夜はみんなで懐かしいうた」「...励ましのうた」「...明日へのうた」と云う箇所が気分を更に高揚させ、最後に乾杯と云うところに曲全体の構成の上手さが光ります。

鳴海 8分12拍子の揺られるようなリズムに乗って、友と再会した喜びが伝わってきました。特に、(みんなで〜)の一オクターブ跳躍が、高揚感が出て曲の結びを引き締めています。そして、三番の「乾杯〜」の追唱が、曲のエネルギー浮き立たせて喜びの感情を増幅していい曲に成っています。ただ最後にもう一度Pfで後奏が有ればよかったかなと思います。

野田 なつかしさがじんわりと伝わる。まとまりがある。詞と曲がとっても自然にあっている。覚えやすい。

 

 

18. 北の大地に歌は巡る 苫小牧うたごえサークルわたぼうし(北海道) 

(作詞/西谷隆 編詞・作曲/第11 回北海道のうたごえ創作合宿 編曲/長谷川好枝)

大西 大熊さんも加わった集団創作か。部分的に光るものがあり。例えば7・8小節の終わり方。詞は各地が織り込まれ、満載。歌によるこの発想は新しくはないが、これは面白い発想で成功。1.十勝2.函館3.岩見沢4.室蘭5.旭川6.釧路7.苫小牧8.札幌。それぞれ特徴があり楽しめる。

リフレインにもっと印象的なメロディを求めたい。大合唱になる程に味も出るようなメロディを「輝く北の大地」に求めたい。音の動きが小さく、少し平凡で残念。もっと雄大に、と思うのですが。うたいつぎのこしたい曲。

  北海道のご当地ソングですね。私も若い日に何度も海を渡って、憧れの北の大地を歩いたので、そのころの風景や風のにおいを思い出し、懐かしく聞きました。メロディも良くできていると思います。その都度、微妙に少しずつ色合い(コード)が変わるのもすてきですね。細かいことですが、どこが主メロディかがわかるように、楽譜に書き加えるといいと思います。北海道はまだまだ町がありますから、50番くらいまでできそうですね。

長森 詩が8番まであるので、伝えたい想いは沢山あると思いますが、其々の節の中で最も伝えたいところに光を当て、長くなりがちな言葉を削ぎ落としていく事で、更に「北の大地の」魅力が伝わると思います。

そうする事でよりメロディにも起伏が生まれると思います。

鳴海 北の大地で生きる人々の暮らしと生活を各々の町の特徴を生かし的確に捉えた詩に感銘。演奏も旋律も、大らかで北海道の自然と歴史が目に浮かんできました。特に、室蘭で育った私に取っては、学校近くのイタンキ浜の鳴き砂の意味を考えると胸が熱くなります。時間が有れば、全曲を聞いてみたかったです。

野田 シンプルでまとまりのあるメロディ、広がっていく感じの曲。土地ソングで詞はどんどん増えていくことでしょう。

 

 

19. 春を待つ子守歌 シニョーレ(大阪) 

(作詞/川野和子 作曲/藤村記一郎)

大西 やさしさを感じるメロディです。いわゆる「ヨナヌキ」だが、音の運びが美しい。さすがです。

  詞もメロディも、しみじみとして、味わい深い歌ですね。「ポニョポニョな手」が新鮮で面白いです。副題に「明日天気になーれ」があるので、どこかでこのメロディ(ことば)が登場するのかなと思いましたが。あなたはあなた、からのメロディが心にしみます。

長森 この柔らかな詩に対して8分の6拍子の流れるメロディがマッチしていると思います。

詩の中の「ポニョポニョな手」「もやもやの思い」などのオノマトペに類する様な言葉は、効果的に用いると曲にインパクトを与えますが、その使い方には難しさがあると思います。

温かな旋律線を生かす、piano伴奏の工夫があると更に良いと思います。

鳴海 簡潔でまとまっていて良い詩です。曲も飾らずスッキリしています。特に曲の「結び」のリフレインの時、アカペラが効果的に使われ印象的でした。

野田 自然なメロディの流れ、「あなたはあなた」美しい流れ。あたたかい詞。

 

 

20. ガンバレわたし ノンシュガー(岡山) 

( 作詞・作曲/小松佳子)

大西 実体験とあり、動作がついてさらによく伝わりました。「いろんな意味であちこちイタいのは世の出来事をさすものと思います。「窮屈な世」とは自由がおかされて権利が押えられていることを指すものか。力を合わせて闘えば道が開けるとの励ましのうた。オ!が決めた。11.12小節と21.22小節のやや変則フレーズも全体でバランスを取っていて良。

  私もこの歌の主人公と、そうは違わんな、と思いながら楽しく聞かせていただきました。

振り付けも良かったですね。「イタいイタい」の部分が特に秀逸でよくできていて、この曲全体を引き締めています。耳についてしまいました。逆に、それに続く「ひと晩眠れば忘れちゃう」の部分は、Dm6拍は長い感じがします。こんなのはどうでしょう?〈譜例4〉

長森 詩の中に繰り広げられる日常は本当に共感できる数々ですね。

ギター伴奏で軽快に歌われ、ユーモアに溢れるその内容は、題名の通り誰もが思うような「ガンバレわたし」ですね。

鳴海 おばさんの厚かましさ、おおらかさに乾杯。イタイイタイの軽快なリズムのフレーズが耳についてしまい印象的でした。

野田 生活感あふれる詞、マッチしたメロディ。

「でも大丈夫」がすてきな言葉。共感できる覚えやすいメロディ。自分にガンバレがいい!

 

 

21. 年金者組合のうた(いきいきはつらつ) 全日本年金者組合静岡支部(静岡) 

(作詞/甲賀明子 作曲/原田鑑一郎)

大西 元気いっぱいのグループ。たのしいうたでした。伴奏も元気でした。集う仲間の共通の感情が詞・曲になっていますが「生き生きはつらつ」が曲の中心にあったら別のスタイルの曲になる、と思いました。(いきいき感を生かしたいですね。)

  元気いっぱいの演奏でしたね。メロディも親しみやすくて、すぐにみんなで歌えそうです。こういうテーマソングのような歌は、それがなにより大切なことですね。

       コードが伴奏者でまちまちな部分が少しあり、その辺の確認をされるともっと良いかと思います。例えば4小節目、12小節目、20小節目、それぞれFなのかどうか、ちょっとわかりにくいです。これからも青春(私もですが)、歌い続けてください。

長森 1番から3番まで「生き生き溌剌」から始まる「年金者組合のうた」は、日頃の皆さんの楽しい活動のご様子が伝わって参ります。

特に最後の行の「今が青春!  知恵と勇気の花が咲く」に皆さんの想いが表れていました。

鳴海 演歌調で、とても歌い安さが良い。メッセージが良く伝わり一緒に歌いたくなります。みんなで歌うと本当に生き生きしてくる歌。

野田 何となく聞いたようなメロディ、演歌風。歌詞づけに工夫を!3番の「いくさのな〜い」に工夫を。ラストのメロディにいきにくい。

 

 

22. ママにかいたラブレター 港新婦人コスモスコーラス(東京) 

(作詞/真堂美織 作曲/町澤恵)

大西 「ぼく」からの想像も加わってい親子の愛が書かれていますね。丁寧な演奏でやさしさが伝わりました。はじ★★て★★というステキなリズムをママ★のほほ★に とつづけるとまた発展がありますね。(★=四分休符)

  自分へのラブレター、いいですね。自分を愛することがまず何より大切だと私も思います。

メロディはおしゃれで、すてきです。アレンジもいいですね。あったかく以下のゆったりした幅広のフレーズもいいですが、Dの部分、僕の気持ち以下が私は特に好きです。

終わり方もうまいです。子育ては大変ですが、それがすっかり遠い昔の思い出になってみると、あの時は宝の時間だったなあと心から思います。

長森 息子さんもママを応援してくれていると云うメッセージがいいですね。

曲も軽やかで、溌剌としたメロディのノリも良く、終わりの手拍子が効いています。

曲全体の構成から言って、繰り返しの部分がやや長いので、要約するなど工夫すると更にまとまると思います。

鳴海 音楽のまとまりがいいですね。スウィングのリズムにのって、子育てのママの奮闘ぶりが目に浮かんできます。子ども成長と一緒にママの成長が眩しいですね。DHの部分躍動感が有り良かった。

野田 想いあふれるすてきな詞、入りやすいメロディ。

ラストの所、無くてもいい気もします。

 

 

23. 羽ばたけ 鳩よ 合唱団「こだま」(教育) 

(作詞/樋口明広 作曲/磯部裕子)

大西 朗読もうたも熱演。熱い思いがよく伝わりました。「普及曲」に型があるわけではないけれど、合唱部分から皆でうたい広げていくのには「構成」も重要な要素で、これも十分知った上でどうしてもこのように音を運びたかったのだと思うのですが。前半の詞に重いテーマがあり、一体となった「大衆歌曲」にならないかと考えます。いくつかの構成も考えてみてください。

  とてもいい歌なのですが、不思議で衝撃的な歌でもありました。冒頭からピアノで醸し出される音が新鮮で、詞(ことば)とハーモニーして、心に刺さります。作曲者が、詞を深く読んでいることを感じます。後半の「平和憲法が作られた」から「九条は」のメロディ、これはこれで、とても印象的な良いメロディだと思うのですが、この2つがつながらない感じもどこかするのです。別の歌になったかのような。つなぎの部分の「積み重なり」の7度の跳躍とFM7の和音があまりにもいいので、急にドミソの音楽になる違和感かもしれません。ただ一方、それでもいいのかなとも思えます。やはり不思議です。このお二人の他の作品も聴いてみたいと強く思いました。

長森 冒頭の台詞にpianoの演奏が効果的です。

セリフから繰り広げられた曲なので、歌は「戦争で 愛するものを失った」から始めても充分に伝わるものがあると思います。

九条は平和のシンボル(象徴)というところに、この歌の希望が感じられます。

鳴海 演奏からこの曲の思いが有るのでしょう、声に力みが有るが、ひとりひとり9条への思いがよく伝わってきます。

野田 歌詞にメロディが引っぱられている感じ。前半の語りのみでも良いのでは。

後半、思いのつまった曲。

 

 

24. 茅ぶき屋根の家 ノンアルコール(岡山) 

(作詞・作曲/山ア義昌)

大西 生活暮らしがうまく詞・曲になって良い作品。出だしの1小節と続く2小節が一節となっています。個性的でよいのですが、第一小節をくり返し 4小節一節(フレーズ)とするのも良いかと思います。〜たけのこはたけのこは いちまいいちまい かわをはぎ〜というように。

  1の「ふるさとよ」と同じで、この歌で歌われている風景は、私たちの世代の懐かしい心の風景であり、大切な宝ものですね。自然な美しいメロディがついて、良い歌だなあと思います。聴いていると、私にも浮かんでくる景色があります。

一つだけ、「重箱〜」の部分がこの歌一番の盛り上がりなのですが、これでいいのかな、という疑問が浮かびました。全体の構成にかかわることなので、簡単に修正はできないのですが、例えば「春のめぐみがあふれてた」とか、「かやぶき屋根のあの家に」というようなことばがここに来るような詩の構成はいかがでしょうか?

長森 日本の豊かな四季の原風景を思い浮かべながら聴かせて戴きました。

メロディに印象的な流れを作るように工夫して、それを四季それぞれに散りばめるように構成されると曲全体のまとまりが更に増すように思います。

鳴海 明け透けな明るい演奏と曲で、生まれ育った故郷四季が、浮かんできます。旋律の構成もしっかりしていて最高音E音迄の進行が自然です。2番かっこからの最初のフレーズの6度跳躍と次のフレーズの5度跳躍が曲の味を出している。

野田 土地、生活に密着した詞。ワンコーラスのラスト、上げた方が良いのでは。

ラストも上がってはいかがですか。自然な流れのメロディ。

 

 

25. メ・タ・ボ らくがく(滋賀) 

(作詞/川森秀雄 作曲/遠藤勉 編曲/らくがく)

大西 ☆熱演!伴奏がよい。作曲のメ・タ・ボの休止リズムが曲想を決めた。

  笑いました。数年前私も85センチをわずかに超え、メタボ教室に通った日々を思い起こしました。(あれは確かに測り方で2、3センチは変わりますね。)メロディは手慣れた作りで、「メタボ」の音が切れるところが特にいいです。2番の歌詞は壮絶ですね。これではメタボから抜け出せないですね。私も内臓脂肪に負けないで、長生きしたいです。(できるかなあ。)今回印象的な曲の一つでした。

長森 この曲の「メ・タ・ボ」と云う箇所がユーモラスで、ずっと印象に残りますね。

曲の雰囲気は エリッククラプトンの楽曲を思い出させますが、このユーモアあふれる詩を見事に纏め歌い上げていますね。

鳴海 カントリー風のリズムに乗った軽快な音楽。(メ・タ・ボ)のリズムが印象的で自然とのってしまう。健康志向の昨今、笑いの中で、どこかで切実な思いが、共感を誘う。そこが、面白い。

野田 楽しい曲、慣れた曲。メタボのところ、印象的。つい口ずさむ。

聞き手にグングン入っていく詞。

 

 

26. あの夏の日に バイオ亭長浜(京都) 

(作詞/石原いっき 作曲/奥村忠一)

大西 1小節目から4小節目までよい流れで、5小節目にあざやかに「平和」が歌われてここまではとても良い。次の「ひがのぼる」は言葉も上昇的、ここはメロディも上げたくなるのですが。いかがでしょうか。8小節、12小節、16小節、20小節と4D音が続くのが気になりませんか?

  平和をねがう気持ちがあふれた詞に、自然な良いメロディがついて、よくまとまった作品だと思います。合唱にしても歌ってみたい気がしました。

       17小節、21小節のリズムは、普通に〈譜例5〉のほうがいいように思います。

長森 メロディの構成ですが、8小節目、12小節目、16小節目、20小節目と、一度も終止が無いので、どこかで一区切りやその後の新たな展開も欲しいです。

1オクターブ内でメロディが作られているので、もう少し起伏に富んだメロディ作りに心掛けると、この詞を更に活かせると思います。

鳴海 無理のない旋律の流れが心地よい、しかし、ともすればこの曲にある言葉の重みが伝わってこない。(平和を〜)と(繰り返す〜)の6度の跳躍の処が旋律の山場かな?だとしたら後半の部分(繰り返す〜)を7度の跳躍を使って旋律を組み立てるのも変化が有って良いのかなとも思う。工夫をしてみてください。

野田 淡々と、しかし、しっかりと伝わる曲。17小節目、21小節目上っていったらもっと盛り上がるのでは。

格調高い詞。

 

 

27. 幸せ家族 愛知子どもの幸せと平和を願う合唱団(愛知) 

(作詞・作曲/三浦節子 編曲/藤村記一郎)

大西 音の進行に特長があり新鮮さが感じられ好感。「夢に向かって進んできたよ」で強く感じます。出だしは強拍から始まっていますが、その後のリズムをみると弱拍から入っても良いかとも思います。が、いかが?

  名古屋で聞かせていただいたときから印象的な曲でした。今回聞かせていただいても感想は変わらないので、まずその時の感想を一部再掲します。

『今回、(名古屋で)一番感心した歌です。冒頭の9小節にわたる「ちいさな〜みんなで作る」までの長いフレーズ、これは実によくできています。私も勉強になりました。長いフレーズを作るのは、なかなか難しいのです。次の、あなたからのメロディも自然で歌詞と溶け合っていて、曲の最後の音まで非の打ちどころがない展開です。』

今回京都で再度聞きましたが、明るくてさわやかで、やはりいい歌ですね。歌の持つ難点ではないのですが、歌の質が高く、歌い方(演奏)がやや難しいので、この曲の良さが今回は会場に100%伝わらなかったような気がします。

長森 ゆったりとした出だしから、軽快な流れの展開に惹きつけられます。

ともに歌ってきた仲間にエールを送る温かい気持ちが詩やメロディに込められていますね。

様々なコンサートの度に、これからも歌い続ける一曲として大切に育んでください。

鳴海 躍動感のある曲。特に「小さな〜」の下りの部分その特徴をより鮮明にしている。演奏上ですが、男声の旋律が少し不鮮明でした。もっと押し出すとよい。

野田 いろんなことをのりこえて創りあげることのすてきさ伝わる詞。出だし印象的。安定した曲。

           

 

28. みちのく・夏 〜赤つらさん〜 緑高校PTA コーラス(愛知) 

(原詞/神谷恵子 作詞・作曲/緑高校PTA コーラス 編曲/藤村記一郎)

大西 南の戦線の兵士のうた。このようなテーマは体験者から聞ける最後の時代として大切にうたい継ぎたいもの。二度とくり返さぬために。動機がとても良いです。

  この色の歌はオリコンでも少ないので、貴重な歌です。詞もメロディも良くできていますが、リコーダーの挿入、間奏のメロディ、終わり方など、アレンジも素晴らしいです。

「みちのくの〜」からのメロディもすてきですが、私が特に好きなのは、「こわいよ〜」からの色合いです。この2つの部分のコントラストが絶妙ですね。このシリーズ、次作も楽しみにしています。

長森 「みちのくのー 風が恋しくて  みちのくの土が恋しくて」という詩に「赤つらさん」の切なさが伝わってきます。

曲の中に取り入れたリコーダーの音も雰囲気が合っていますね。

「まほろばの里の赤つらは〜」からの展開も曲に沿った旋律線でまとまりを感じます。

鳴海 愛知で創作発表会での講評参照!愛知と比べて人数が少なかったですね!

野田 情景浮ぶ詞。ユニークな展開の曲。ラストの終わりきれない終わり方が伝わる。

中盤、美しい流れ。

 

 

29. 見上げた空から 大熊家with 平和な空をまもり隊(東京) 

(作詞・作曲/大熊啓 編曲/ E.Koizumi

大西 Soloと合唱。うたも詞・曲も限りなくやさしい。聴き手を包み込むようでよい。記譜法については8分の拍子にして、3連符を多用しない方が良いと思います。(3連符は特別の折に使うのが原則だから)

  歌だけでもいい歌ですが、演奏の質の高さ、アレンジの秀逸さもあり、さらに良さが何倍にもなりました。メロディで言えば、「来るものは」の「の」の音がGであること、これに作者の持つセンスを私は感じます。また、うたごえのこの種類の歌のなかには、爆弾や飛行機を歌の中に挿入したものも多いですが、(それを否定しているわけではないですが)まったくそういったものが入っていなくても、これだけ深いアピールができるということを、わたしたちに教えてくれる歌でもありました。ブラボーです。

長森 沖縄にも東京にも、日本のどこにも危険な基地は要らないという想いを、簡潔で誰にも共感できる言葉とメロディで表現されていますね。

メロディが心に残り思わず一緒に口ずさみたくなります。

強い言葉で表現するだけでなく、優しい表現の中に年代を越えて共に歌える一曲として、これからも様々な場で歌い広げてください。

鳴海 詩と旋律が一体に成って、音楽が成立している。演奏もソロから合唱への広がりも自然で、とても印象的。特にサビのH→G→A→H→Cのメロディの発展が素敵で曲の広がりを創っている。歌い安く広がっていきそうです。

野田 重いテーマを軽やかに皆で歌いやすい曲。普遍的な詞が良い。サビ、美しく覚えやすい。

 

 

30. このふるさとで 白鷹うたう会(山形) 

(作詞・作曲/ろくろべ 編曲/小林康浩)

大西 しっかりうたっていて、詞曲の良さが伝わりました。テーマにしっかり向き合って言葉が選ばれストーリー性も十分。ラストの2行が見事。123連の書き分けも良い。

  白鷹山の成績を毎日チェックしている私にとっても、心のふるさとの一つと言っても良い白鷹町の歌なので、次々に景色が浮かび、歌を超えた思いが湧いてきてしまいます。曲は、ことばに寄り添った良いメロディがついていて、歌つくりの技術を感じます。ただ、時折出てくる16分音符がやや気になります。例えば、ゆったりと始まった最初の部分に16分音符が8つ出てくるのですが、やや無理があるような気がしますが。全体に、ことばを少し削って短くしてみるのもありかなと思うのですが、いかがでしょうか。例えば、焼き物教室、深山和紙、人形、青竹の流しそうめん、のどか村祭り、一つ一つに娘さんとの秘められた思い出はあるのでしょうが、歌の中で全部が必要でしょうか?

長森 地域の自然や農業、文化を守りたい、続けたい、残したいという切実な思いが伝わってきます。思いが溢れる分、詩に込める言葉は、もう少し整理されると良いと思います。

旋律線では、例えば「嫁いで」「数えた」など下降していますが、ここは上行した方が言葉の高低アクセントにも適っていると思います。

作詞も作曲も一人でこなされていらっしゃるのですから、これからも沢山創作して演奏される事で、得る事は大きいと思います。

鳴海 他の地域から嫁いできた女性が、夫と二人で創り上げてきた暮らしの中で、この地で生きぬく覚悟と気概がみえて共感を呼ぶ。そして、その土地の自然に委ねられ、ゆったりとした時間が物語を紡ぐ。そんな印象を、坦坦と流れる旋律が語っていて素敵です。

野田 長い間歌いつづけてこられた想いがあふれる詞。少しまとめて、詞にひきずられて譜割りのむずかしいところがないようにされたらいかがでしょう。もう少し盛り上がりがほしいように感じます。

 

 

31. 旅立つ白鳥 アンサンブル ローズ(九州) 

(作詞/是枝朝子 補詞・作曲/園田鉄美)

大西 詞・曲・演奏共に美しかった。印象深く思いが伝わりとてもよい歌。動機のくり返し、発展もとても美しい。

  薫り高い作品です。旅立つ白鳥の歌ですが、どこかその姿の中に、愛する人への思いを感じる歌でもあります。作曲を学ぶ方にぜひ参考にしてほしいのは、この曲の伴奏の素晴らしさです。(私も勉強になりました)前半は歌とピアノの対話ですね。控えめではありながらも、歌が止まっている(延びている)時にピアノがしっかりと語っています。後半は役割が少し変わり、旅立っていく白鳥の羽ばたきをあらわしているかのようです。44小節目のDbの和音の使い方もうまいですね。

細かい点ですが、28小節目の音型、アルトの3拍目にEに行くというアイディアもあるかなと思いました。もちろんこのままでもOKですが。〈譜例6〉

長森 心ならずも故郷を離れて行く友との別れを「旅立つ白鳥(しらとり)」と謳われているのですね。

「春の訪れに〜」と云う冒頭のモチーフに先ず惹かれます。「白鳥は羽ばたいて」からの展開もメロディラインに推進力が感じられます。最後の方で使われたD♭のコードも効いていると思います。

鳴海 哀調帯びた旋律で、友との別れを切々と訴え、それが、擬人化した白鳥の美しく舞と飛ぶ姿に託して、想いを紡ぎ情感あふれる曲に成っています。サビの部分も発展した広がりを見せて個性的な曲です。

野田 美しい抒情的な詞と曲。少し悲しすぎるかもしれない。

 

 

32.  リカルボン(岡山) 

(作詞・作曲/山ア典子)

大西 心にジンとくるうた。身近なテーマで「人間」をうたうしっかりと見つめ・かざらない言葉が胸にせまります・どのような曲想にするか、きっと迷ったことと思いますが、おだやかな気持ちが伝わります。曲想の中心のリズムが「よいしょよいしょ」でしょうか。

  印象深い曲です。ピアノも素晴らしい。作者が日本語の持つ音のリズムをしっかり感じておられるので、「八十八歳の」の始まりが自然で、聴き手はここだけで歌に引き込まれます。「なーんもわからんようになったと」ここも自然で良いのですが、さらに驚くのは「よいしょよいしょ」のところです。特別に変わったことをしているわけではないのに、ぴったりのメロディがついていて、母の掛け声が聞こえてくるかのようです。手押し車で、音が止まるときのA7のコードも絶妙です。他の作品もぜひ聴かせて欲しいです。

長森 お母様への想いが作詩の動機となっておられるのですね。

前半のメロディを受けての「なんも わからんようになったと 言いながら」の『言いながら』と云うところから少し流れが滞っている様に感じます。旋律の中に休符を使う等、更に工夫しても良いと思います。

お母様は88歳になられてもリハビリに努め、手押し車で歩ける様になられるって凄いことですね。

鳴海 気負いなく語りかけるような旋律が胸を打つ、「老いる事」のテーマを娘の目から見つめた曲で共感を呼ぶ。特にサビの(何にもわからんようになった〜)からが印象的な旋律に成っています。

野田 母への想いあふれる詞、語りのような曲。

メロディに合うように詞に工夫を凝らしてみると、歌いやすくなるのでは。

 

 

33. 楽しく生きて当たり前 長崎センター合唱団(長崎) 

(作詞/松田惣一郎 作曲・編曲/松永真司)

大西 元気の出るうた。目のつけどころが面白く、言葉の選びも、流れも良いです。うたの「こつ」のようなものをもった作詞者、今後も楽しみです。作曲は「あたりまえ」に変化もありよいですね。

  この歌は、別名「あたり前音頭」ですね。楽しくて、思わず一緒に歌いたくなる歌ですが、一つ一つが当り前じゃない現実をついつい考えてしまって、それでもそれを歌い飛ばし、笑い飛ばすことも大切だと思いつつも、やっぱりどこか重い気持ちにもなる歌でした。

       変な感想ですみません。

長森 当たり前と云う言葉が繰り返され、付点のリズムが楽しい雰囲気とピッタリ合っていますね。

「当たり前」の言葉を色々と探すことは大変だったことでしょう。

大勢で歌うのに合っていますし、初めて聴いた人達にも歌詞の分かりやすさや明るさが残りますね。

鳴海 「当たり前♪」の唱和の繰り返しが、自然と体が乗ってきて楽しくなります。

「当たり前節音頭」という名称で、踊りを付けると面白いですね。

野田 皆で一緒に歌える、替歌も出来る曲。うたごえならではの曲、面白い発想の詞。

施設で喜ばれるでしょう!「ア、ヨイショ!」と言いたくなる。

「幸せもとめて」のところ、すてきなメロディです。

 

 

34. 南風Ocean オーシャンズ(奈良) 

(作詞/長浜敦夫、大野裕子 作曲・編曲/長浜敦夫)

大西 沖縄への想いをうたう。細やかな動きが美しいメロディを生んでいます。うたも上手。運動の広がりも感じられ、やさしくて力強い人間のうたです。人と人をつなぐうたです。

  会場では、残念ながら音のバランスが悪くて(ギター音量が大きすぎて)歌が聞き取りにくかったのですが、録音を聞いてみて、作者の気持ちがしっかりと届き、改めていい歌だなと思いました。今と未来をつなぐ空、ハイビスカスと共に揺れるあなたのこころ。いい詞ですね。メロディでは「南風ふけよ」からのところからが特に好きです。

長森 沖縄への想いを馳せて作られた一曲なのですね。

イントロでの波の音が生きていますね。

メロディに自然な流れがあり「南風吹けよ」からの展開も力強さが感じられます。

鳴海 沖縄の青い海と緑の風景が広がってきます。時々サビの部分で沖縄の旋法が使われていて効果的に作曲されているな〜と感心します。其のあとに来る6度、7度の下降音、7度の上降音の連続の旋律が魅力的です。

野田 沖縄のメロディ力強く印象的。

歌詞づけが少しむずかしい。詞を選んでほしい。@とAの譜割りを合わせるように。

「南風〜」のところ美しい。

 

 

35. 夢は生きる力に 小春日和(石川) 

(作詞・作曲/小春日和)

大西 Soloの女声、とてもよかった。作品はこのままで良いようにも思うけど、例えば出だしの「心の中にある」1番「心の中に見つけた」2番。どちらが1番かと考えると、逆でもよい、逆がいい、と思い、つづいてどちらか一つにした方が、曲の面でも、聞きおぼえる上でも、よいのではないか。「ある」にして。1.2の僕から、Coda(3)の僕らへの発展は、詞曲共にさらに研鑽を望む。

  いつもですが、演奏がすばらしいですね。曲も良くまとまっていて、ことばとメロディのバランスもとてもいい曲です。私は、元気が出ない、からのメロディがとても好きです。

欲を言えばですが、まとまりすぎていて、逆に印象が薄くなるような気もします。はっとさせられたり、考えさせられたりするところ、音楽的にもおやっと思うようなチャレンジがあってもいいのでないか、と思います。

長森 夢は生きる力にと云うテーマがいいですね。

4分の3拍子も詩に合っていて、ギター伴奏にもこの曲の優しい雰囲気がよく出ていると思います。

「立ち止まって〜」や「今 僕らに〜」に出てくる六度の跳躍が効いていると思います。

鳴海 三拍子のリズムがとても心地よく流れる。一つ一つの言葉が大切に噛みしめて歌う姿も良く似合う。旋律もアウフ・タクトから始まり、17小節目の拍頭から始まる旋律に成り、25小節のEE75拍伸ばす旋律がいいです。

野田 自然なメロディ。1番の詞がのっかっているのに合わせて2番も言葉を選んで譜にのせるようにしたら歌いやすい。

すてきな詞ですが、少し言い過ぎているかんじ。もう少しまとめて。ラスト盛り上がるように曲を!

 

 

36. かけぬけた あなたへ 〜いのちの かがやき〜 伊佐昭代(京都) 

(作詞・作曲/伊佐昭代)

大西 人生をえがいた作。大切なふしぶしをしっかりとらえ、ありのままにせまるほどに深い思いに共感します。「おもゆ」の連は圧巻です。転調後、このままでの悪くはないが、くり返しを使ってさらに印象深くするのも一案。

 

 

  いろいろなことを考えさせられる深い歌ですね。『困難は不幸ではない。私の体に愛が通る。』一人の友人への追悼歌にとどまらず、私たちに多くを語りかける歌でもあります。伊佐さんだけではなく、みな私たちはこういった先に逝ってしまった大切な人を持っています。そういった人たちの生きたかった思いを胸に、歩き続け、歌い続けなくてはなりませんね。

長森 ご友人の命の輝きを楽曲にまとめられ、詩も簡潔で、その方のお人柄や生き方が伝わってきて胸が熱くなります。

冒頭の「ほころぶ笑顔から〜」のかろやかな歌い出しから曲の世界に誘われます。

「みんなで歌った『たんぽぽ』もうすぐ春でした...も胸に響きます。

「かけぬけた あなたへ」、きっとご友人に届いて喜んでおられることと思います。

鳴海 大切な友を亡くした思いが、リズムの変化を駆使して伝わってきます。力作ですね、但、最初の出だしのリズムが印象的ですので、もう一度どこかで使うのも良かったかなと思いました。

野田 詞に合った曲。聞かせる曲。

彼女への愛にあふれる詞。もう少し練りあげた詞にしてほしい。言葉を少なくしては?

印象的なフレーズがもう少しほしい。

 

 

37. いとし子よ 青森センター合唱団(青森) 

(作詞/佐藤達子、中坪昇 作曲/高畠賢 編曲/石垣就子)

大西 似たタイトルの曲があり、少し気になった。「いとしわが子よ」でもよいのではないでしょうか。

詞曲とも、やさしいまなざしでいっぱい。感動の「ああ」のくり返し、A音よりC音の方がいいのではないでしょうか。

  暖かくてやわらかくて、静かで控えめですが、深くて豊かな世界を感じさせる歌ですね。「命のうねりがよびまねく未来への奇跡」いいことばですね。ゆったりと、母に抱かれる赤ちゃんの姿が目に浮かびます。「きよしこの夜」のような感じがします。アレンジも美しいです。

長森 生まれてきてありがとう、の想いが込められた曲なのですね。

詩の中の表現で「まどろみのなかで」「ふかい眼差しに」「うるわしい瞳」などに惹きつけられます。

詩に寄り添った優しい旋律の流れが心に残ります。

鳴海 シンプルな旋律です。ひたひたとわが子へのいのちの誕生の喜びが伝わってくる。二行目の詩(しなやかな〜、よびまねく〜、陽のひかり〜)の行(くだり)が素敵です。よく纏(まと)まった詩です。8分の6拍子で揺りかごのようなゆったりしたリズムが、音楽の世界に引き込み素敵な曲に成っていました。結びの旋律(あ〜の処)が生かされていました。

野田 素晴らしい詞。曲全体抑揚がほしい。9小節目からも上ってほしい感じ。ラストのメロディにも工夫を!

 

 

38. ぼくらのたからもの 全レク一座(保育) 

(作詞・作曲/佐々木洋子 編曲/シモシュ)

大西 リズム感がすばらしい。リズムが生きていて。みんなすてきです。出だしの選音が新鮮!言葉も。

目標にむかって広がれうた!

  質の高い演奏、そしてすばらしい歌です。伴奏部分も歌も、このまま東久留米市のテレビ・ラジオで、廃園やめろのアピールCM放送ができそうです。言葉でいうよりも何倍も訴える力のある、音楽の力を感じます。僕がぼくでいられる場所こそ、ほんとうに宝物ですね。

長森 明るく軽快で覚えやすいメロディと共に「 もの ものもの  タカラモノ  ハコものじゃないよ タカラモノ」の歌詞にインパクトがあって印象に残ります。

イントロや間奏でのフルートの音色が軽やかで素敵です。

23小節からの「それはね パパとママの 〜」と云うメロディの進行が曲をより前に推し進めていますね。休符での手拍子も自然で効果的です。

この曲が広がって「公立保育園存続プロジェクト」運動の大きな力となることでしょう。

鳴海 軽快なリズムで、躍動感あふれる曲。随所に出てくる、5度跳躍音がその要素の大事な一つに成っていて、音楽が、前進するエネルギーで脈打っていました。保育園存続の思いが伝わってきました。

野田 完成度の高い、伝わる曲。

そうなってない保育園の多い中で、この詞のような保育園への希みが詞の奥にひそんでいる。

 

 

39. みどりの風に 〜聞こえるよ学さんの声〜  はじめの一歩(愛知) 

( 作詞/高橋雅子 作曲/尾関記久子)

大西 林学さんの歌そのものも、うたっている中で、もっと大きな思いが湧き、長年あたためておられたとの高橋雅子さんの胸の内が伝ってきます。思いを形に、のアイディアが生かされ、それぞれの曲の特長をつなぐアイディアもいかされていてGood

「公」の場に個人の感想は「禁」でしょうが、彼が作曲をする前から知っているものとして、このような想いが詞曲になることに大きな感動を覚えます。12小節にこめられた詞は、林学さんのうたを思う立派な大きな高橋さんの詞です。無駄な言葉もなくよく伝わります。

  曲の途中に林学さんの代表曲をちりばめ、愛知の人たちの思いがいっぱいに詰まった曲で、私はとても好きです。また、愛知の会からのわずかな時間で推敲をされて、微修正されてきたこともうれしかったです。みどりのかぜが、の部分が私は特にいいなと思います。

10年前の京都祭典の年に亡くなられ、10年後のやはり京都で、愛知のうたごえの人たちによってこの歌が生まれたことを、きっと林さんは喜ばれていることでしょうね。

長森 林学さんが召されて10年の歳月が流れたのですね。

曲の冒頭の「みどりの風に」「みどりの風が」というフレーズに、その先を聴きたくなる魅力を感じます。

12小節の旋律に対して、34小節目の旋律が、もう少し呼応して作られるとより纏まると思いますがいかがでしょうか。

間奏で林学さんの遺されたメロディを活かし、効果的に取り入れていらっしゃるところが心に響きます。

鳴海 愛知の創作発表会の講評のときから、少し音を変えて発表して曲が締まりました。4番は12小節から33小節に飛んだ方がまとまるかなと思いますがいかがでしょうか?

野田 淡々としていながら思いのこもった曲。間奏がなぜこんなに長いのか少しわからない。(学さんの曲が入ってるの?)

歌詞づけもむずかしい所がある。ラストもう少し盛り上ってほしい。

 

 

40. ラップ版 選挙に行こう 愛知のうたごえ有志(愛知) 

(作詞/ 2019 年愛知の創作講習会参加者集団創作 作曲/藤村記一郎)

大西 うたごえ運動のリーダーとして運動をすすめる藤村記一郎さんの活動が形となったものと思う。60年前(1959年)の荒木栄の「どんと来い」を思い出します。一人でも多く広く、人々を結ぶうたとして、高めて束ねて前へ。

  この種の歌があまりなかっただけに、このアイディアに私は拍手を贈りたいと思います。

ことばは韻を踏んで、良く練られています。ただ、曲が短くあっけない気がして、もう一度ラップの部分が再現されるとか、歌と言葉が重なり合うとか、もう一工夫できそうです。これからもこのような歌が出てきてほしいです。みんなで育てていきたいですね。

長森 ラップで選挙への呼びかけをしている着眼点がいいですね。

リズムも一辺倒にならず、飽きさせません。ラップは日本語でも英語でも韻を踏みながらリズム良くひとつの思いを表現して行くツールであると思います。それだけにスピーディに過ぎ去って行く言葉が、一瞬に理解され続けて行くことが大切だと思います。

三行目の「言う事だけは好評」と云う箇所ですが、直ぐには理解しづらいかと思いましたがいかがでしょうか。

若い人達の投票率アップの為にも 此れからもどうぞ歌い広げて下さい。

鳴海 愛知の創作発表会講評に同じ省略

野田 言葉を選んでの作詞。語尾を合わせていろいろ作れる。面白い曲。

 

 

41. 生きてさえいれば みなと医療生協 うたやーせ(愛知) 

(作詞・作曲・編曲/原春久)

大西 リズムのつかみ方に特長あり。この曲はこの曲として完成度は高い。タイトルにもなっている「生きてさえいれば」が20回以上くり返される。もっとも大事なところで、1回にすることも考えられるか。「かけがえのないいのち」「いのちのとおとさ」など数多くうたにしてきたが「生きてさえいれば」この言葉は強い響きだから。

  詞もメロディもよくできた歌で、愛知の時にも好評でした。その後、わずかな間に微修正もされ、レベルアップしましたね。今回何度か聞いてみて、繰り返される「生きてさえいれば」という言葉の裏に、生きることができなかった仲間への熱い思いも流れているように感じました。一方、生きることの質の問題、ビクトルハラや、中村哲さんのような死をかけての生き方のことも考えさせられるような歌でもありました。

長森 ギターのアルペジオの伴奏が軽快で曲に合っていますね。

「生きてさえいれば」と云う繰り返しが心に残りますが、人は皆必ず召されるという事を考えた時に、もう一歩踏み込んだ 生きて来た事への感謝や、それぞれ歩まれてきた道への讃歌の言葉がありますと、より豊かなメッセージになるのではないでしょうか。

10小節目の「そうさ  ときは〜」の展開にインパクトがあって曲に力を与えていると思います。

鳴海 愛知の創作発表会講評に同じ省略。20小節から愛知から変えて演奏。曲のエネルギーの高揚感が有ってよかったと思います。

野田 「生きてさえいれば」が多すぎる感じがする。詞にもうひとつ工夫を!特長的な言葉を選んでほしい。

メロディは覚えやすい。

 

 

42. みんなの大阪 ギッチョ・ジムーチョ、鬼ヤンと仲間たち(大阪) 

(作詞/立川孝信 作曲/鬼崎良弘)

大西 良いマーチ曲です。後半のスタッカート指定の―「わたしのまちあなたのまち」は特に印象深いです。みんなの大阪が、GOGO!と大行進めざし、さらに創作をすすめてほしいコンビです。

  暖かで親しみやすいメロディに載せて、大阪を愛する人たちの思いが詰まった曲ができました。わたしのまちからのサビの部分が特にいい感じですね。

       たださらに一歩踏み出してみると、大阪をどんな街にしたいのかが具体的に実際に歌の中で歌われ、私たちと対極にある〇●党や△△党の歌とどこが違うのか、という点がもっと鮮明になるといいのかなと思いました。

長森 軽快で皆さんと歌うと勇気が湧いてくる様な一曲ですね。途中のGo! Go!や、手拍子が曲を盛り上げていますね。

コード付けですが、6小節目と10小節目のDBmに、また8小節目のGDに、また11小節目の3拍目にA7を通ってから次のDに入ったらいかがでしょうか?コードに正解はありませんが、より適ったコードが付くと歌いたくなる気持ちを応援してくれると思います。

メロディでは「つくろう〜」の音の跳躍がこの曲を引き締めていると思います。

鳴海 曲の動機からのひとフレーズやサビの部分など旋律の掴みどころが良い。7度・8度の大胆さが魅力です。確(しっか)りした構成の曲。歌で選挙を盛り上げる情景が目に浮かんできます。

野田 皆で歌うのに合った曲。替歌もどんどんして頂きたい。

できればコーラスごとに譜割りを変えずに詞を作って頂きたい。

 

 

43. われら壮年お助け隊 ヤネコシンガーズ(京都) 

(作詞・作曲/ヤネコシンガーズ)

大西 よい活動が、世の中を明るくするもの。このアイディアに注目。たのもしいヤネコシンガーズ拍手です。実践編など、次作続編に期待!

  壮年お助け隊は面白い発想で、それを歌にされたのも、とっても面白いのですが、子供の成績アップや孫のしつけになってくると何かどこかに違和感が生まれてきました。そこも笑い飛ばしてしまえばいいのでしょうが、壮年お助け隊の質を、もう少し吟味するほうがいいような気もします。どんな仕事も本当に引き受けられますか?相当の覚悟が必要ではないでしょうか。歌の感想から離れてしまってすみません。

長森 世の為 人の為  自分の為の曲として、周りの人も自分自身も励ます一曲となっていますね。

ギター、リコーダー、アコーディオン、打楽器のアンサンブルで気持ちを寄せ合って演奏されていていいですね。

歌詞の中でも思わずクスッと笑ってしまうユーモアがあって、この歌を聴いた人たちがつい何かを頼みたくなってしまうのでは、と思いました。

鳴海 人間が便利さを追求した結果、AIが、これからの生活暮らしに取って代わろうとする時代。それとは逆行して、アナログな、おせっかい焼のおじさんおばさんの出現!こんなぬくもりを感じる便利屋さん達がいたらいいですね。聞いていて嬉しくなりました。人間同志血が通うが今本当に求められています。そういった意味でこんな思いで創られた大切な歌です。

野田 ユニークな発想。間奏長い。詞もう少し整理されたら。

メロディもうひとつ工夫して頂きたい。

 

 

44. 世界を包もう二つの灯で 宇宙人(東京) 

(作詞/箱崎作次 作曲/佐藤香)

大西 箱崎作次さんの活動は、もう広く知られていますが、今回も、祖国とインドの二つの灯。実体験からくる作詞に、広い視野でつくられたこの歌に学ぶものが少なくない。非暴力といえば、すぐに沖縄が浮かぶ私ですが、インドの理念などが学べるうたとして評価。これ以上短くはできないでしょうが、世界の言葉を訳せるようなスタイルにもアタックを望みたい。

  「第9条」と「非暴力」こそ世界を導く灯、ほんとうにその通りだと共感します。力強く素晴らしい歌だと思います。9条とガンジーの非暴力とがハーモニーした時に、静かで、でも揺るがない平和への力となるでしょう。9条の文言が、とても自然に歌になっているのに驚きます。ぜひこの歌を歌い広めてください。

長森 日本国憲法の前文の言葉から引用したり 第九条を要約したりすると、言葉が難しくなりがちですが、8分の12拍子に乗せて表現した事で流れが出て、より伝わる曲となっていると思います。

インドの非暴力に付いて、より具体的に歌の中で盛り込まれると、注釈なく理解でき、日本とインドの二つの灯がより具体的に浮かび上がってくるのではないでしょうか。

デュエットでの演奏も良かったので、今度は合唱団の歌声でも聴いてみたいです。

鳴海 ガンジーの非暴力と日本国憲法第9条を結びつけ、人類への「二つの灯」とした着眼は見事。曲も8分12拍子のリズムに乗って、祈りと願いを込めた力強さが漲っていました。国際的な視点で日本の立ち位置を見つめる作者の思いが良く伝わってきた曲でした。演奏も男声二重唱声で、のびのびと歌われたのが良かった。

野田 壮大な立派な曲。歌詞が心に入ってきにくい気もする。

感性に訴える曲を目指して頂きたい。

 

 

45. ワオン・へビョン(臥温海辺)の岸壁で 榊原昭裕〜 旅するさかちゃん(大阪) 

(作詞・作曲/榊原昭裕)

大西 美しい詞です。感動が伝わります。中所の「この太陽がもう一度上る朝」にこめられた願いを思う。音の選びについて、また「夕陽にこめる願いについて」曲は「もえてもえて」と下降していく。共感すると同時に、逆に燃え上がる上昇のメロディも思う。この曲は、この曲で完成度は十分ですが。

  最初の2小節のメロディが、一度聞くと耳を離れません。美しい歌ですね。ただの美しさではなく、深く透き通った美しさ、悲しみを通った美しさのようなものを感じます。作曲者の歌にかける情熱もあわせて。

ワオン・ヘビョンには行ったことがないですが、今は韓国の若者たちと毎日一緒に仕事もしているので、この歌は私にとっても大切な歌です。私も歌います。平和なアジアで、平和な世界であってくれと。

長森 ストーリー性のある歌詞を穏やかにアプローチしながら、後半への盛り上がりとエンディングでの静かな音楽の余韻が心に響きます。

「ワオン・へビョンの岸壁で〜」「ワオン・へビョンの太陽は〜」と云うフレーズの繰り返しがこの曲の中で一貫性を持たせ効果的です。

ギターの入れ方をより研究されてピアノとのコラボレーションをより高められると、更に良いと思います。

鳴海 斬新で、繊細でモダンな感性の曲。C(♯)から始まり動機の旋律が落ち着くかなと思えば、落ち着かない、浮遊状態をキープ。やっと12小節から下降して下のA音に落ち着く。そして(Hu〜)のけだるい物憂げなハーモニーが印象付ける。二番かっこからは、内容の飛躍と大胆な骨太の旋律で平和の思いを歌う。また、終わり方もニューミュージックのようなモダンに、永遠に続くその想いを残し余韻に浸る空間を演出。何気ない風景から突き動かされる平和への思いに拍手。

野田 出だしが印象的。流れるメロディ、魅力的な曲。独特な世界。

 

 

46. 若者はみた ミルキーM2(大阪) 

(作詞・作曲/堀江麻里子 編曲/大原守生)

大西 組曲の3章とあり、この章は台風と農家。若者にはするどいリズムを、父には静かな悲しみを書き分けていて良い。物語の進行と構成も良い。

  何度聴いても、お二人の声は稀に見る(聴く)美しい高音で、素晴らしいですね。その表現力豊かな歌声とトランペットの音色にささえられて、一つの物語(ドラマ)のような歌になっているように思います。また、このテーマ(自然災害)をすぐに歌にしたことも評価されると思います。このスピードこそ、うたごえの特徴ですね。トランペットにもう少し活躍してほしかったとか、音楽的に小さな課題はありそうですが、それを超えるものがお二人の音楽の底には流れているような気がします。

長森 大変な災害が起こり大切なビニールハウスも畑も吹き飛ばされてしまった思いは、筆舌に尽くし難いものがあるでしょう。その思いを親子で乗り越えながら、また立ち向かおうとする勇気が満ち溢れた楽曲です。

様々な展開が一曲の中で少々目まぐるしく表現されているので、もう少し流れやまとまりに付いて考察されると更に良いと思います。

鳴海 自然災害で田畑を、失った若者への共感。現実の悲惨さを吐露した緊張感あふれる曲に成っていました。トランペットで荒れ狂う嵐の模倣で始まったのには驚きました。演奏も二人の熱を籠った歌声に成っていました。但どこかでトランペットの音で、希望への旋律を歌う独奏する部分が有るともっと音楽が広がったかな?

野田 前半ソロでもいいのでは。詞を少し練って。思い伝わる物語的詞。

後半、明るく力強い。組曲の中の1曲という感じ。

 

 

47. Nagasaki Rain 園田鉄美(教育) 

(作詞/濱裕子 作曲/園田鉄美)

大西 雨と虹を書き分け、言葉に無駄がなく、きりっとしまっている。@とAの雨の、発展があざやかで良い。@の温もりひとつ届けたい、Aの希望のうたを届けよう、にもう少しメロディを求めたいが。このきりっとした曲調が作曲者の「らしさ」とみた。普及に期待するところ大。

  長崎から、祈りと気品の溢れるすばらしい名曲が生まれました。最初の2小節も、34小節も、そしてNagasaki rain も、繰り返しで同じ音で続くこと、そして色が少しだけ変わっていくこと、シンプルで深い、その辺にこの曲のすばらしさの秘密がありそうです。ただ一つ気になるのは、園田さん以外の人が歌ったときに、この世界が生まれるのか?ということです。この曲は合唱にはならないでしょうか?いやそれとも?

長森 イントロからテーマに掛けてのコードの使い方や、展開部でのメロディの流れに躍動感があって魅力的な一曲だと思います。

A♭のコードが流れの中で効いていますね。

ローマ教皇が長崎を訪れた際の光景を謳われていて、時勢にマッチしていて心に残ります。

演奏ではRainの発音も自然で、曲中のダイナミクスも伝わってくるものがありました。

鳴海 自作自演の暖かく包み込むようなソロに酔いしれました。繰り返されるサビのメロディが心に残ります。静まった雨の中で祈りる平和の鐘のように聞こえてきました。シンプルでムードのある曲。

野田 美しい曲。印象的。シンプルな詞にマッチしている。

 

 

48. WAKU WAKU!! あいち保育のうたごえの仲間たち(保育) 

(作詞・作曲/保母理英子)

大西 WAKUWAKU感がしっかり伝わる応援歌。ねらい通りの歌です。今、自分がそして「仲間」が感じていることを実感をこめて言葉にし、曲にして歌って伝える。こんなことがやれてしまう力をあなたも、仲間も持ってきた。うなずき合えるうたですね。そして中間部分の現代的なテーマにもしっかりふれていますね。6768小節の「荷物を持って」に対する曲づけで、このままですと「にもつ思って」と聞こえるので「符割り」を「にもつを、持って」と変えたいところですが、そうすると66小節の「それがごうけん」という素敵なフレーズとの関係で、ここだけ変えるのは難しいですね。次回からの参考に、言葉と音符の上下にも気くばり下さるとよいかと思いました。

  オリコンのトリにふさわしく、若くて明るくて楽しい曲ですね。聴くほうも元気が出ます。3小節目のコードAmでメロディがGというのも、何気ないですが工夫されていています。35小節から最高音のD(49小節)まで広がる歌の世界が私は特に好きです。どうぞこれからもこの歌や、また新しい歌も歌っていってください。

長森 保育のお仲間と広く手を繋ぐ為に作られた歌と踊りという事で、軽快で楽しめますね。

「一回だけなら やってみようか」と云う冒頭の呼びかけが躊躇する気持ちを前向きにさせて貰える魔法の言葉の様ですね。

16小節から20小節にかけてのシンコペーションのリズムを次のフレーズに掛けても旋律の中で活かせたらいいと思いました。

子供たちにも大人気ということで、どうぞ此れからも歌って踊って楽しんでください。

鳴海 合研応援ソングらしく生き生きとしたうた。単純で平明な旋律ですが、子供と一緒に歌うと楽しくなる歌ですね。大人数で歌うともっとこの歌のエネルギーがワクワク沸いてくるのではと納得しました。

野田 詞の視点が面白い。合研に限定しないでいろんなケースに使えるようにされたらいかがでしょう。

のりやすいメロディ。